観覧車が燃えてるように見えたのは夕陽のせいだった。/カンチェルスキス
 
手に入れた気分だった。そんな構図がこの世に存在してたのか。おれも明日からやってみようと思ったのだが、『湖の遊覧船の先っぽで両腕を十字架みたいに伸ばした女』が見つからなかった。街のどこを探り見て回ってもそんな女はいなかった。たいてい両腕を胴体にくっつけるか離すかしてみんな歩いてる。ぶらぶらさせてる、と言うんかな、ここらの言葉じゃ。ぶらぶらさせて、まるでなくても構わないの、両腕、みたいな顔をして歩いてる。ハンドバック持ってたり、マクドナルドの袋を持ってたり、ふとん叩きを持ってたり、如意棒を持ってたり、カルーセル麻紀の失われた睾丸を持ってたり、持つものと持たぬ者に分かれてはいたけど、みんな持つべきものを
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