金魚と水草/長谷伸太
 
えます。しばらくすると金魚はだんだん寂しくなってきました。
「ようしここは一つ、自分も上へ上がってみよう。ただそれだけなら、お使いへ行くよりずっと大したことはないだろう」
金魚も外へ出てみました。水草がその姿を見つけると、いっそう嬉しそうな顔をしました。
「すばらしい広さだね」「まるいね」と二人は口々に言いました。

 その時です。なにか大きなものが飛んできました。ヒヨ鳥です。目は嬉しそうでしたが、その光かた、何から何までナイフみたいに鋭いようでした。
「ヒャア、お助け」金魚は一目散に水槽へ逃げ込みました。あまりに怖かったので、金魚の赤は少し薄くなったように思われました。
 ヒヨ鳥は
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