あめんぼう/まきび
 
濁った池に
あめんぼうが浮いていた
何にも考えてないような
のんびりとした浮かびようだった

池の周りは夏だった
数メートル下の底に沈んだ
黄土色の軽薄な泥が
水面を死海のように見せた

池にはあめんぼうしかいなかった
ぶった切ったほうがはやいような
煩雑に生い茂った木々が
そこここで緑色だった

町から来た車は
赤であったり銀であったりした
その幾台かは池の前でとまり
あめんぼうをつまらなそうに眺め
再び川原を目指して走り出した

濁った池に
あめんぼうが浮いていた
何も考えてないかのように
やる気なく四肢を投げ出していた

あめんぼうはたくさ
[次のページ]
戻る   Point(2)