dreamscape(2)/篠有里
こかの家の玄関は開けっ放しで途中まで去年の汚れをたたえ
た網戸で目隠ししてあるだけ知らない誰かのサンダル足が横切って消えたのを
一瞬見たような気がする姫睡蓮ひまわりオシロイバナしおれたアサガオ八重咲
きタチアオイ気の早いトンボと私の先祖は入ってないお盆過ぎのお墓のありか
のある道を通ってイタチが横切る青い水田脇の道を通っていくここまで来ても
私に聞こえる音はないすべての事象は結局認識レベルで存在を確定する事しか
出来ないのであれば私がしている行為は欺瞞じゃなくて必然だ脳内密室で行わ
れるだけの隠微な行為決して音はしないあるのは匂いだけ私の進まない足は道
の行き止まり海を臨むローカル
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