dreamscape(2)/篠有里
 
カル線の駅待合室はあるトイレは無い出入りはホー
ムの端の階段から行う駅にとうとうゴールする海の向こうに見える奇岩の露頭
は水蒸気に霞んで本来の色を知る事はできないあり得ないスケールでそびえ立
つ暗灰緑色の流紋岩質角礫凝灰岩のはるか向こう紫に交わる海と空の境界線の
向こう『まだ見ぬオリジナルへの切符』を買うために駅舎に入ろう無音の電車
が来るまで椅子に座って待っていよう電車で友が迎えに来る私の隣に座る彼ら
の夢を見て眠ろうさあ南へ向かおう旅の終わりを知るステキな旅に出ようそれ
が間違っているという自覚はあるのにそれが何であるのかは分からないまま物
語は新たな展開を見せる私が何であるかという事が先刻一瞬だけ世界の謎と共
に解き明かされたが今また始まる新しい何かに押されてはらはらと崩れ去るハ
ゲイトウクレマチスガザニア懐かしいダリアとカラー達いつでも匂いだけ決し
て音はしない決して音はしない私の知らない面の再生はどこかで開始されるほ
らかつて見た青い空に飛行機雲が二本どこまでも私を追って去っていく去って
いく去っていく
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