dreamscape(2)/篠有里
ある古い引き戸を通って外に転がり出た私の影は黒く短い私の時間は
計る事が出来ない暑いはずなのだから暑いのだと心をだまして青い空の下をカ
メラバッグを抱えて歩いていくこれって撮影ってやつ?そうね私を占めるほと
んどがこれだから脳の中の密室様の暗室で行われる事ときたら結局現実の狭間
ってものから逃れられないんじゃないのよ心の『あわい』って一体何なのよ夏
と私が決めたから夏時間を水中夢行していくゼリーの中を歩いていくような心
持ちで進みなさいと誰かが言った下手な慰めはいらないわどうせ私は間違って
いるほら見なさいこの坂道は一本ささくれを間違えただけで全く違う場所に辿
り着いてしまうどこか
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