夢を語る行為/篠有里
 
えない」
「一生あんな田舎で暮らしていかなくちゃならない」
「あそこではみんなが私を知っている」
「それは怖い」
「他にもね」
「妹のものがあるの」
「そこかしこに死んだ妹のものがあるの」
彼女は失ったものについて考えようとして結局止める。
「それを見るたび私はいつも怖い」
彼女は少し考え込む。
「お父さんやお母さんを捜すんだけどどうしても見つからなくて」
彼女は強調する。
「そこでは死んだ妹が生きていて、私は妹も探すの」
彼女は目を開いて何も見ない。
彼女の魂は日々の生活と、労働に疲れている。
彼女はどうしても布団から出たくない、特に今日は。
「名前を呼んで探し回
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