夢を語る行為/篠有里
 
夢から覚めた。
彼女が傍らで伸びをする。
彼女があくびをする。
彼女は悪い夢を見たという。
彼女は目覚めが悪いという。
でも夢は動作をする度にこぼれ落ち、
原形をとどめないあわい砂の城になる。
彼女は語り出す。
聞いているといないに関わらず。
もう1度布団の中に潜り込む。
残されたぬくもりの中で泳ぎ出す。
「私が夢の中で実家に帰って、そうしたら実家がないの」
肩口までぬるり深く潜る。
「実家に帰るのは怖いんだけど、実家がないと寂しいの」
「実家に行ったらそこには家が無くて、代わりにスーパーが建っているの」
そう言ってまた目を閉じる。
自分を抱え直す。
どうせこれか
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