夭折(三篇)/岡部淳太郎
の心の中など
どれだけ昏いことだろうか
――太陽は成長を止めたよ
そんな声を聞いた少年は
それは僕だった
――海は涸れ果てたよ
そんな声を聞いた少女は
それは君だった
だが成長しないことが
まっすぐ伸びる望みが絶たれることが
そのまままっすぐ
死へとつながってゆくものなのだろうか
昏い昼
昏い日常
広がる どこまでも広く 広がる
それが人の心であるはずだった
だが ある心は限りあるままで
無明の
いのちの昏さへと沈んでいった
あの声を聞いてしまって
僕も危うくいきそうになった
君は いってしまったけれど
今日も空は
昼間から昏い曇天
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(13)