夭折(三篇)/岡部淳太郎
 

恐らくどこかで
誰かが早すぎる死を迎えているのだ}



夭折


明け方の羊
果たして君は
本当に眠れていたのだろうか
横になり
眠りに落ちようとする
そうして長い羊たちの乱舞
痛む背中
夜の羊は朝を迎え
頭の中はますます濁ってくる
書こうとして書けずに朝になる
破れた詩人のように
眠れないでいたのではなかったか

だがもう
そんなことを気にする必要はないんだ
君はずっと眠りつづけ
君の頭は眠りこけた羊たちでいっぱいなのだから
羊は若くして殺されるのか
その羊毛のために

いまはこうして毎日
僕が君の後を継いで
眠れない夜を送っている
今日もまた
明け方の羊
殺されるには
僕はまだ若すぎる
君も
本当はまだ
若すぎるはずだったのだが




(二〇〇四年六〜七月)
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