夢の国のアリス/独白/渡邉建志
 
んでいるけど、わたしが生きているから飛んでいるのかしら、それともわたしがいなくても飛んでいるのかしらね。焦がれているのはわたしだもの。『憧れ』は彼方(『あ』なた)への焦がれ(『こがれ』)なのかもしれないし、『あ』ちらへの焦がれなのかもしれない、あら、前者だと焦がれているわたしが消えると『憧れ』も半分力を失ってしまうわね(あなたが生きていればいつかたどりつくかもしれないですけど)。でも後者だったら、ひょっとしてわたしが飛んでいくのかしら、あの世に飛んでいってしまうのかしら。その力が『憧れ』なのかしら。たしかにあの人をおもう気持ちはあの世を掠め見るような感触に似ているわ、この世の人に思えないもの。たぶ
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