目覚め/篠有里
 

新しい朝の到来を予測する、

誰が考えても素敵なひとつの事実であるはずだった。

海の中に腰まで浸りきり、

どうしても動かない足をどうにかして先に進めようと、

腕を使って水をかく動作をするものの、そこは見知らぬベッドであり、

既知の狭い海でしかない。想像の中だけの海、

私が否定すれば今日もすぐ消える。

さて今日は何を食べようかと、他の欲がそれを凌駕して、

更には誰かに会って話したいというシンプルで

強烈な痛みが何もかもを駆逐する。



(キラキラと)

(極私的に)

(ひそやかな生活)

(誰からも隠れてあろうとする)

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