目覚め/篠有里
(ふたり相争う)
(場所)
(クールに)
(心尽くす事無く)
(こえのみなもと)
(対峙する)
(光景)
耳のために、それを探す事になるとは誰が思っただろうか。
誰かの謝辞が終わった後、
全ての音、テレビのノイズはひたすら眠りの質を落として、
ゆらゆら動く人影の中に繰り返し消えていく。
そう、増殖し尽くした黒い馬の蹄の音だけはまだそこにあり、
ほとんど絶望と言ってもいい、
得体の知れぬ感情が白々と胸を満たす。
満たすものはいつも液体、
私が動くたびに重くたぷたぷと形を変えて、
ええ、そうですと
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