底流の鏡/カンチェルスキス
丼を片付けにいった主人が扉の外を見て
言った。
今日、寒いなあ。何度や?
厨房にいる妻と高校生は
縦列駐車の話を続けた。
おれはスープと麺を交互に食った。
ハンチングのおっさんは
おれを殺したのは間違いで
わたしが殺したのは
きみによく似た人だ、とは
訂正しなかった。
巻き寿司を一本追加して
出て行った。
扉が開いて
作業服の男が二人入ってきて
一人はトイレに向かった。
テーブルについたやつが
二人分注文した。
トイレから戻ってきた。
今度の休みはいつだ、という話になった。
給料日の支払日についても話した
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