偽・大洪水?散文詩/前田ふむふむ
1
ひかりがなく照っている太陽は、世界の黄昏を
予言して、黒いかなえた起点を、再びふまずに、西を眺めながら、海が飲み込む土地をたんねんに探していく。太陽は、誰もみたことがない、隠してある不毛の記憶を、風貌を世界に発信している。
2
見知らぬ島では、猿たちがお互いに首を絞め合っている。深く傷ついている白鳥は、みずから、みずうみにその身を沈めてゆく。病気で動けない小鹿は、鳥兜の毒を食べていのちを絶つ。あわただしい殺戮の朝が狂気をたずさえて続いてゆく。動物たちは、世界の終焉が近いことを本能でさとり、新たな旅立ちをするために、その苦難に耐えられないものの無言の抹殺が
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