冬の庭にて?印象/前田ふむふむ
かこくな恵みに耐えている、健気な百日草が、熱を吸い取られて、造花に化粧して、細々しく呼吸している夜。夕暮れのひかりが、影の世界を呼び起こして、夥しいゆうれいが灰色の雲を背景に、最後の薄いひかりと共に死に絶える。家のなかの燃えている空間は、光の結界をつくり、燃え尽きると、夜ごと冬眠をする。窓の外がわの充満した闇を黒く塗りたくり、絵具が乾いた場所から、先に選んで、夜の懐に仕舞いこんでいる静寂の眼の子供たち。全て、乾き切れば、見開いた傷口に、黒い包帯をたんねんに巻こうとしている。滲んでくる明るい赤い血が見えなくなるまで。
そして、夜は完成の祝杯を上げる。――
そのすぐ前で、空気を凍らす訓
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