冬の庭にて?印象/前田ふむふむ
 
す訓練中の庭の闇の奥では、胎児の朝が、産気づく夜のなかで、分娩の準備をしている。春にまだ届かない梯子を用意して。
    
母が、氷枕をつくり、私の汗を拭く。38・1℃。
少し寝て、天井が落ちてくる夢を見た。
こうして眺めると自然の中で木のなかにいるようだ。
静かな夜の――、夜の庭のわずかな風のざわめきに
促されて、際立つ柱時計の音が、私の鼓動と共鳴している。
なぜか嬉しくなり、今、生きていると思う。

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