詩って・・/広川 孝治
 
絵が飾ってあった。
画家の名前も作品のタイトルもなかったその絵は、不思議なものだった。
絵の具をぶちまけたような絵。
何か形のあるものを描いたものではなく、画家が筆の赴くままに絵の具を塗りたくっただけのような絵。
しかし、不思議なのは、見ていて不愉快に感じない。
何かの形に見えてくるわけでもなければ、色がグラデーションになっているわけでもない。
それこそ、上下左右が逆さまになっていても全く判らないような絵。
なのに。
見て不快感はなく、むしろなにか落ち着くような、癒されるような気持ちにさせられる。

その時に同行していた友人に絵を専門に勉強した人がいて、教えてくれた。
こうい
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