『ゲド戦記』と『指輪物語』(書評)/竜一郎
と戦う者は、自ら怪物とならぬように心せよ。
汝が久しく深淵を見入るとき、深淵もまた汝を見入るのである。」
(ニーチェ『善悪の彼岸』)
指輪を持ったものは狂ってしまう。その盲目的な愛によって。
そして、彼の周縁に破滅を呼びこむのである。
指輪を持ったものは、自らの「怪物」を寵愛してしまうのだ。
ところで、ゲドは逃げ続けた。
世界中を、船を漕ぎ海を渡り、走り、
怪我を負い、疲労にやつれゆきながらも。
そして、彼は知ることになる。影とは、「彼の影」であることを。
それから、彼は影を追い始める。
光は、より弱き光を影とし
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