『ゲド戦記』と『指輪物語』(書評)/竜一郎
として、ますます栄えるだろう。
見なくなることは、見えなくなることでもある。
それの形を知らずに過ごすからだ。
たとえ見たとしても、わからないままに、忘却してしまう。
傍らにあるものはいつでも見えづらいのだ。
明るすぎる光が、魅力的であるように
暗すぎる闇もまた、蟲惑的であるのだから。
狂わないように禁じられたものをあえて見るためには
勇気と道徳を持たなければならない。
すべてを肯定する、ニーチェの指し示す「白痴」のごとく。
そして、彷徨しながら、さまざまなものを見なければならないのだ。
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