ミヒャエル・ゾーヴァの「スープ皿」に関する言及/竜一郎
 
求め、
あるものはそこで生きようとする。
そんななかで、ゴールディングは戦争を描いている。
戦争を犯す暴力を。
ラーフたち、イギリスの少年たちは、
暴力の中で「獣」の存在を思考する。
その「獣」である豚の頭が争いを
「みんなわたしのせいなんだよ」と囁くのは、
「わたしをこんな形にしたのは誰かを考えなさい」
という明示に等しい。
豚(牛か羊など)の頭は要らぬ、蠅に食わせよ。
身はわれら人の血肉とせよ。
旧約・新約聖書にそんな文言はなくとも、〈文明人〉は選定する。
動物を殺し、その肉を食らい、生き永らえている存在が、
暴力から無縁になることはないのではないか。

 ラー
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