ミヒャエル・ゾーヴァの「スープ皿」に関する言及/竜一郎
 

豚の頭はラーフに語りかける。それはこんな言葉だ。

  「おまえはそのことは知っていたのじゃないか?
  わたしはおまえたちの一部なんだよ。
  おまえたちのずっと奥のほうにいるんだよ?
  どうして何もかもだめなのか、
  どうして今のようになってしまったのか、
  それはみんなわたしのせいなんだよ」
   笑い声が、また震えるように反響した。        
                   (新潮文庫版『蠅の王』 平井正穂:訳)

 『蠅の王』は少年たちが無人島に漂着して、
その中での生存の過程を描いたものだ。
あるものは狼煙を上げて気づいてもらうことを求め
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