ミヒャエル・ゾーヴァの「スープ皿」に関する言及/竜一郎
では、
「獣」の象徴として現れる蠅の王は豚の頭の形であった。
その周りを蠅がぶんぶんうるさく飛び回っている。
『蠅の王』を読んでいて、この『スープ皿』を思い出した。
『スープ皿』には?〜?ほどのバージョン違いのものがあり、
豚の足などが皿に載せてあるものもあった。
(うろ覚えで申し訳ない)
それのどれもが、暗い色彩の中で、不気味な様相を呈していた。
彼の作品は濁った色合いで描かれていることが多いようだった。
何かしらの不安が、そこに現れるように、という配慮なのだろうか。
温かいはずのスープ皿に、豚の頭。もしくは、豚の足。
この不釣合い、虚脱感は、言葉では説明したくない。
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