死神と私 −朝の卵−/蒸発王
 



とりあえず言われるままに屋根を登ると
空は未だまどろんだ瑠璃一色で
月がほんのりと提灯のような光を抱いています
其の瑠璃の彼方に白濁の丸い膜がうっすらと張っています
よく見ると卵の形によく似ていました
卵はどんどん膨らんで私達にせまってきます
叫び声をあげそうになった私の唇を死神はしっと押さえて


“朝は優しく起こしてください”


と囁くと
直ぐ近くまで膨らんできた卵の表面に
とん    とん   と触れました


触れられた処から朝の卵がふつり と破け
中から朱色の虹彩がとろとろと流れ出ました
朱色は瑠璃色の空の底へまんべんなく流れ込み
先刻
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