近代詩再読 草野心平/岡部淳太郎
え?
わかんないなぼく。
ぼくはひとりらしいな。
どうかしらあたしは。
(みず。もやもやもや)
ちがうよ。
みんなぼくたち。
いっしょだもん。
ぼくたち。
まるまるそだってゆく。
まるまる。
ぼくたちそだってゆく。
(みず。もやもやもや)
(「おたまじゃくしたち四五匹」より)}
さて、草野心平といえば、蛙の詩の他にも自然の雄大さを謳った数多くの詩がある。『富士山』や「劫初からの時間の中で」「猛烈な天」などがあり、それらの詩も好きなのだが、草野心平の詩を時間を置いて読み返してみると、むしろ詩人の心情が飾り気なく現われている「わが抒情詩」や「デ
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