近代詩再読 草野心平/岡部淳太郎
 
つ恣意的な選択になることをご承知いただいた上で、読み進めてもらえれば幸いである。



 まず最初にとり上げるのは草野心平だが、いきなり近代詩の時代と現代詩の時代を股にかけた、詩暦の長い詩人を登場させることになった。
 草野心平といえば、蛙を題材にした一連の詩で有名である。特に詩集『大百階級』は全篇蛙の詩で統一されていて、その独自の視点、語り口の面白さもあり、草野心平入門用としては最も適した詩集であろう。冒頭に置かれた「秋の夜の会話」は、二匹の蛙の会話で全行を通していて、そうした形式以上に詩としての完成度が高い。


{引用=さむいね
ああさむいね
虫がないてるね
ああ虫が
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