【 僕と浮浪者 】/豊嶋祐匠
 














街を車で
走っていた時だ




コンクリートの
道端を

ひとりの浮浪者が
歩いていた




ぺしゃんこの
ダンボールを
脇に抱え

真夏に
長袖のボロボロの
シャツを着て

とぼとぼと

とぼとぼと

人生を
諦めた様子で

歩いていた




僕は

わき見に
気をつけながら

その先の赤信号で
車を止めると


あの放浪者が
ゆっくりと


[次のページ]
戻る   Point(1)