マイノリティー/純太
 
師匠に呼ばれて半ズボンくんは
名残惜しそうに行っちゃった

それから俺は
文庫本の棚に向かったんだ
Tシャツはヘッセと鬼六を買おうと
あえて決めてはきたんだけど
人間失格の本にハマってしまい
購入の腹が決まったとたん
Tシャツと目が合ってしまったんだ・・・

あっ いつかの俺だ

紙から滲む美醜の群れの
匂い臭いが舞い舞いて 
俺はそれらに連鎖した
輩の中の一人だった
のちに人を立ち読み
続く性質ヨミそれが放浪

そして俺は今その観念を
上手く言えないジレンマに侵され
またそれが快感で
時好など尻目に
繰り返し繰り返し
俺は俺の不幸のいくつかを

[次のページ]
戻る   Point(5)