マイノリティー/純太
師匠に呼ばれて半ズボンくんは
名残惜しそうに行っちゃった
それから俺は
文庫本の棚に向かったんだ
Tシャツはヘッセと鬼六を買おうと
あえて決めてはきたんだけど
人間失格の本にハマってしまい
購入の腹が決まったとたん
Tシャツと目が合ってしまったんだ・・・
あっ いつかの俺だ
紙から滲む美醜の群れの
匂い臭いが舞い舞いて
俺はそれらに連鎖した
輩の中の一人だった
のちに人を立ち読み
続く性質ヨミそれが放浪
そして俺は今その観念を
上手く言えないジレンマに侵され
またそれが快感で
時好など尻目に
繰り返し繰り返し
俺は俺の不幸のいくつかを
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