<昔詩(十代のノートから) 1976〜1978>/藤原 実
 
もはやそれを咎めることをしない-----

  「夏の日 ニューヨークの街角で
   東京のビル街 ペニイ・レインの安全地帯で
   少女の手を離れた白い風船は高さだけを求めて
   人々の心の扉を舞い上がっていった」

そして闇よ 光を閉ざすことをするな
許された女のため
たったひとつの光に照らされるには
あまりに若い彼女のために
そして あなたよ
やがて時が流れ
商店街の雑踏を通り過ぎ 藁葺き屋根を越え
高速道路の車と競争しながら
山を越え
川を越え
海を越えた白い風船があなた
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