暗い安ホテルで眠ろうと思った/虹村 凌
 
世界が途切れる最後の日をラブホテルで過ごそうと思った
窓の光も入らない暗い暗い新宿の安ホテルで
外界全てをシャットアウトして過ごそうと思った

風呂に水を張り
白と黒の写真と真っ赤な薔薇を浮かべて
上から珈琲牛乳を注ぐ
無意味な行動を繰り返し無意味に写真を撮る
世界が途切れてしまったら何の意味も持たないのに
一片の希望を託す訳でも無く写真を撮る

胸に人形を抱いて歩くだけで恥辱されるような世界
離れ離れ遭ゐ魔ヶ時を越えて行こうと思った
愛する事で傷付けるよりも愛さない事で傷付ける
離れず離れず丑三つ時を越えて行こうと思った

世界が途切れる最後の日をラブホテルで過ご
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