チェジ/ピッピ
 
それをみんな赦していた
更に言えば三人で済むのが不思議だと誰もが思っていた
三人のうち二人は姿を表さなかった
チェジがよく口にするのは3番目の夫で
3番目だから3と呼んでいる、と言った
3はいつも傷だらけで暗い顔をしていて、
チェジはそいつが大嫌いで、
そいつがいるから他のものをどうにか愛せる、と嬉嬉として言った
名前をチェジにきいたらわからない、と言った
あとの二人をチェジはとても愛している、と言っていたけれど
昼間連れて歩いているのは一番目の夫だけだった


チェジは歌をよく歌い、戦争を二、三回止めた


チェジの手は柔らかい
誰もがチェジの手を触ろうとして
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