キミの掌の/AKiHiCo
やってここに来たのだろう
そしてなぜ意味不明な言動ばかり繰り返すのだろう
「いずれ判るよ」
キミは壁に凭れながら横目で僕を見ている
突風でその長い髪が顔を半分隠しているけれど
「これね、君のなんだ」
そう言ってキミは右掌を上に向けた
やはり何も載っていない
僕はキミの発言に耳を傾けるのをやめ
靴を脱いで揃えた
誰が変な手を使い僕を止めようとしても
もう遅い
柵を乗り越えて
境界線を一歩踏み出せば
僕は物体になれる
「あぁ、残念だな」
風が一層強くなった気がした。
「君もこれさえあれば、そんな事しなくて済むはず」
なぜかいきなりキミが僕の横に立って
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