キミの掌の/AKiHiCo
 
っている
「でも、君は必要としなかったら、見えなかった」
キミは再び両手で器の形を作り
「生きるってさ、楽じゃないんだね」
そう言うと付けた両手を虚空に広げた

僕は頷いて境界線を越えた
垂直に落ちてゆく
なぜかキミも落ちてゆく

「今なら見えるかい、」
「あぁ」

確かに今なら見えた
キミの掌の中身が

キミが僕にくれようとしていた物は
僕が今まで本当は欲しかった物
今更、遅すぎるけれど


時計の針は戻せても、時間の流れは戻せない
気付くのが遅すぎたね、君は
本当に

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