内なるチカテツ/---
「タンポポまるかじりー」というセリフが何の漫画に出てきたのか思い出せなかった日
たとえば夜中にひとり歩くと
暗闇がとてつもなく怖いもののように感じてしまう
野生のチカテツが草むらの影からこちらを伺っているような気がして
早足になってしまうんだ
あいつは闇を雇っている
だが俺が駅員か幽霊になれば
そんないわれのない恐怖はなくなるのだろうか?
「糞、おどかすな」
通気孔や
アナウンスよりも
切符や
ブレーキで
言ってみせろ
俺には名前がある
だからそれ以外の何者でもない
喰いかかるのは名前も顔もない巨大なチカテツ
それはよどみのないセンチメンタルになって
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