手向け(骨)(糸)(雪)(暁)/蒸発王
糖ブラックの落ちる音も
親友の声も
嫌に
遠くに聞こえた
僕は
『彼』と『彼女』が
あの
太陽と月みたいな2人が
好きだった
秘密の裏庭に
しっとり積もってる
処女雪みたいに
だから
その雪に
ずかずか入り込み
銀色の雪跡をつける
目の前の親友が
少し にくらしくて
少し うらやましかった
でも結局
憎む事など
苦い気分になりながら
一緒に行けば と
僕は言った
親友がNOを叫ぶ前に
『彼女』自殺しちゃうかもよ と
続けた
親友は
心持ち青い顔で
『彼女』の所に駆け
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