それは怖い夢物語『不思議な糸』/和泉 誠
 
い声が絶えることはなかった

私はその晩眠れずにいた
あの四郎の青ざめた顔が気になっていた
それにみんなの尻尾を一くくりにしようとしていたあの不思議な糸

するすると音もなく障子が少しだけ開く
生暖かい風がすっと差し込む
チカリと光るもの
縫い針だ
一番隅に寝ていた庄吉の尻尾にブスリと刺さる
庄吉はピクリともしなかった
隣にだらしなく寝そべる田吾作の尻尾にもブスリ

私は見てしまった
障子からちらりと覗く
血のように真っ赤で蛇のように恐ろしい大きな目
その目はまっすぐにこっちを見ている

みんな起きろ
声がかすれて音にならない
心臓の音のほうがよっぽど大き
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