北風の工場/ベンジャミン
今日も遠い北のはずれでは
北風がつくられている
私は妹の手をとって歩きながら
「ごらん、あれが北風だよ」と
すり切れそうな雲の端を指さして言う
すると雲は
少しずつ形を変えながら
ちょうど雪ウサギのような耳になって
少しだけ妹を喜ばせてくれた
おそらく妹は
今から自分が連れて行かれる場所を知りたくて
ときどき後ろを振り返ってみせたのだろうが
私は妹の手をとって歩きながら
「北風は北風の工場でつくられるんだよ」と
もっともらしく話して聞かせるのだった
大きな鉄の板が
自動機械の歯車で動かされていて
それがバタン、バタンと
トタン屋根が叩
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