故郷へ帰る/初代ドリンク嬢
下だった
家の前を流れる用水路でサトイモを洗っていた
つきたての豆もちに砂糖をつけて食べるのが好きだった
おじさんが祖母のために大きな家を建てた
でも祖母は4畳半の一間と台所しか使っていなかった
毎朝、洗濯を干しに外へ出ると
真っ黒で毛足の長い
葡萄色の瞳の大きな猫が
こちらをじっと見る
「今日は寒いよね…
毎日へとへとだよ」
私は
毎朝、話しかける
祖母は雪かきをしている最中に
落ちてきた雪につぶされた
腰がくの字に曲がった祖母は
死ぬまで働いていた
もう
今は祖母のうちがどこにあったのかも覚えていない
最後のトンネルを抜けると
小
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