母からの手紙/ポン太
」だけだった。
「由加里、あなた、おばあちゃんち行ってきたら?」
言い出したのは、母だった。
「あの人は、案外癒し系よ。」
ニコッと笑って母は言った。
一人で行くのは初めてだったので少し躊躇したが、結局行くことにした。
祖母の家に着くと、祖母はとても喜んで迎えてくれた。
「あらぁ、カヨちゃん、よく来たねぇ。疲れただろう?」
と言って、母の妹の名前で私を呼ぶ。滞在中、私はずっと「カヨちゃん」だった。
祖母は少しボケている。決して重度ではないが、少しピントがずれている。不謹慎だが、そのことが私をとても楽にさせてくれる。
少しボケた祖母との会話は、不思議と楽し
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