◎吉増剛造覚書?ハルキ文庫版「吉増剛造詩集」感想 /石川和広
 
この旅行は、マリリアさんとの出会いから結婚まで一気に書かれていて、性にも生活にも世界を見る眼にも時折絶望しながらも発見と転機―稲川方人は「青春」といっているがーあった時期なのだろう。どういう恋愛をし何を見たのかわからないけど、とびとびにドラマチックにそのテンションが伝わってくる。とにかくその出会いからの展開が速い。彼はここで世界を脳内から本当に展開するものとして見たのかもしれない。そのポイントポイントがうがたれている。幸せだ。こういうの僕も書けたらなあ。地獄という言葉が第一部から出てくるけど、吉増の地獄はすごくハイだ。書けない時もハイだ。

○第三部


冬に来た時、一渡り、五十円だった
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