◎吉増剛造覚書?ハルキ文庫版「吉増剛造詩集」感想 /石川和広
連呼とか、孤独のうちに連帯を求める詩がいいと思った。「帰ろうよ」は「獅子やメダカが生身をよせあってささやきあう/遠い天空は/帰ろうよ」が素朴な世界への素直な郷愁、本当に帰りたい気がして、いい感じにかわいい。愛しい。
○第二部―フルブライト留学と、ヨーロッパ旅行の記録。
「黒人は竹馬に乗らないのかしらん」とか詩にも出てくる覚書が笑える。とても真剣なのだが、その真剣さがおかしい。「恋愛詩を書く!」「老年までの恋愛!」とか唐突に出てくるのもいい。スチュワーデスとか合唱団の女の子が「酒井和歌子」に似ていて目が離せないとか、こういうところは目茶、お茶目で健康的なスケベさがいい。この
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