◎吉増剛造覚書?ハルキ文庫版「吉増剛造詩集」感想 /石川和広
 
捕まえられた瞬間だ。書きながら生きる、そして歩いていくということを打ち付ける一曲だろう。

ただし読み始めは勢いのいい言葉だ。界隈をうろつく、足をたたきつけるリズムと妄想世界めぐりが並べられ叩きつけられ、自動筆記的書き方にしては構成もしっかりして、一語一語に魂が宿っている。しかし重くない。どこか脳の神経細胞が発火する瞬間とスピードに乗っている。世界は脳の中にある。だから「頭脳の塔」と題されたのか。生まれる前に帰りたい芽のような印象。すごく若い。やわらかい印象がある。タイトルがいい。「草原へ行こう」とか「帰ろうよ」とか。
僕は「野良犬」の「やせこけひん曲がったおれたちの音符」とか「玄関」の連呼
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