半生記/炭本 樹宏
 
火がだんだん大きく燃え盛るさまを見ているのは楽しかった
 そのうち純さんはみきくん、走りなさいと言い出した
 抵抗はあったが大自然のなかを走りだすと最初はくるしかったが
 そのうち走ることに楽しさを見出してきた
 その間にも日本から同じように日本からはじき出された若者が訪れてきた
 アメリカ人とのコミュニケーションも慣れてきてフレンドリーに接して
 くれることが僕の自信につながっていった
 そうして自然の中でくらしているうち、走っているうち、僕の中の生命力が
 どんどん湧き上がってきた
 淳さんはネイティブアメリカンの人達とも親交がふかく、ネイティブアメリカンの
 思想に傾倒し
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