半生記/炭本 樹宏
 
女性のアメリカ人が来ていた
 歳はとっていたがきれいな人だった
 車に乗ってまず、お世話になる日本人の知り合いの友人宅に向かって一泊した
 次の朝、お世話になる日本人のおばあさんが車で迎えにきてくれた
 小柄で愛嬌のある顔立ちをしたおばあさんだった
 そのおばぁさんはお寺の尼さんだった
 アメリカで日蓮宗のお寺の住職をされていた
 行った先はニューヨーク州の郊外だった
 ニューヨークの4月はまだ寒かった
 お寺に着いてお寺の手伝いをすることになった
 滞在費はいらなかったがその代わりお寺の手伝いと
 朝夕のお勤めをしなけらばならなかった
 その間にも吐き気は止まらず夜も眠れ
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