【批評ギルド】『叫びと沈黙』 安部行人/Monk
。僕たちはこういう相反するものが実は同一である、とい
う話をすでにたくさん知っているし、それの真偽はよくわからない
が、というよりその日の気分で真でもあり偽でもあり、この手の話
で「なるほど、違うものだと思っていたものが実は同じだったん
だ!」と感動することはあまりない。情報は流通しすぎてしまった。
愛するが故に憎み、憎むが故に愛するような話が典型という座席を
すっかり勝ち取ってしまった。
そしてもう少しひねくれた大人になると、愛と憎しみが同じなんだ、
という話を聞いてもそれは詭弁だろと思う。違うもんは違うだろと。
なんか流行が一回りしてしまった感じであり、再びレトロブーム到
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