ユダの闇/The Boys On The Rock
光景が
眼前にあるだけだ
(不吉な事象のひとつでも起これば良いのに)
「よう ひさしぶりだな」
市場で昔のゼロータイの知り合いに声をかけられた
「なんだ 妙にふさぎこんでいるじゃないか?」
この田舎者はあの方の死を知らぬ様子
やつは俺の肩に手をかけたが
すっと 手を引っ込めた
「なんだ・・・それにしても 暗いな
まえにナザレの男についていくと言ったときは
妙に晴れがましかったのに」
そうだ
暗いのは生まれつきだと思っていた
俺、暗いかな?
「いや 気のせいだ 気にしないでくれ」と言い
怪訝そうな表情を浮かべたまま男は市場に消えた
この気の重さの原因は
わかり
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