かなしい帝國/石川和広
いる間
たくさんの紙切れがおちてきて
わたしはどこまでも
遅れる
その遅れのさなかに
世界があくびして
わたしはたまらなくなる
5
いのちということばの
氾濫
あるいは反乱
息継ぎが下手で
コップの水を飲み干して
ここまできました
そしていのちです
いのちは
顔で
それぞれひとりで
言葉で
つきつけてきて
それぞれこぼれて
流れていきます
泳ぐ魚のうろこといっしょに
6
今日は
しんどいなあ
と大阪弁をつぶやく
わたしは
人の間を落ちこぼれて
すりきれて
その傷口から
野バラが咲きました
7
爆弾をとる
落
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