かなしい帝國/石川和広
 

落ちてくるのを
とる
いっぱいピースがあって
爆弾を本屋に置いた子供も
テロリストも
みんな
甘酸っぱくて
明日もとりに行きます



攻撃につぐ攻撃
恋につぐ恋
そして誰もいなくなった
お母さんとお父さんが
透明になってふえていく
それから泡いっぱいのビールを飲む
コップに汗がつたっている



あたたかい酒
ついでもらうとき
思い出す
うっかり空にかばんを忘れて
うっかり新しい命が植えられて
うるさいけど
まあいいや

10

お寺に毎日拝みに行く
スケベなことばかり願うけど
あまり
罰がこないで
大きな神社に
えらいひとが拝みに行くと
新聞が大騒ぎしているのを
横目で見て
ハトをけちらして
それでも
ちゃんと死んでいない人が多い
そこにも
兵隊さんがならんでいるし
美しいおんなの姿もみえる
別に霊能力者じゃない
たぶん
いきているから
みえている
誰か
手を貸して
たぶんなんとかしなくちゃ
いけないと思う
やさしく
時に
クールに



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