遠雷/
 
く見れば
どこか違う

ふらふらと

少し歩き疲れたので
見知らぬ店に入ろうとしたけど
あまりの明るさに目をやられ
ドアを閉めた
それで
見知らぬ自動販売機で
一息ついた



僕は歌っていた
あの歌を
はっと気づいて
すぐやめた
うんざりしてツバを吐いた
ただ鳴り止むことはなかった


”あきらめる事は死ぬことだ”
僕が尊敬していた
あの男は言った
僕に酒の飲み方を
教えたあの男が言った
その無精ひげ
その歩き方
皮のコート
兄さんあのときは
あなたのことを愛していました
今はあなたの
した事が理解できません
あなたは
あき
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