ネットワーク(ネオとトリニティ)/Terry
 
価は厳しかった。まるで、こんな MIDI の作品でショパン三世の演奏のデモンストレーションになるなんてお門違いのように、フロッピーディスクをゴミ箱へ捨てられた。ショパン?世の余韻が残っており、これは無理もない話である。粉雪が舞う帰り道に、朱音は必死に涙をこらえてまたデスクトップミュージックを再開すると、この道をあきらめないと意志を固めるが体がついていかなく、ふらふらと倒れてしまった。バッグから、クライアントに渡された命の次に大事なデータが収まったフロッピーディスクが、運悪く自動車に轢かれようとしていた。
 「平坦な道で転ぶ大人もめずらしーなー。はい、これ、危なかったね。」
さっき知り合った男性
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